バイオフィルムを構成する細胞外多糖の機能性

岩淵範之(日本大学生物資源科学部)   バイオフィルムの主要骨格を構成する主な成分として細胞外多糖(EPS)がある。EPSは、微生物自身とそれらを取り巻く環境との相互作用を調節する重要な因子の一つとして考えられており、我々の研究グループは、その構造と機能との関係の理解を目指し、研究に取り組んで来た。その結果、いくつかの種のEPSの基本繰り返し構造が明らかになったことにより、様々な機能が考察できるようになってきた。ここでは、微生物の有機溶媒耐性や海洋のバイオレメデーションでの研究から考察されたEPSの部分構造とその機能との関係を紹介し、EPSあるいは細胞外ポリマーの
Posted On 06 10月 2015
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バイオフィルムに見られる規則性 — イオンの動態に関して —

森崎久雄(立命館大学大学院生命科学研究科)  バイオフィルムの含水率は通常90%以上に達する。これらの水は、親水性の細胞外ポリマーが織りなす細孔に富んだ構造中に存在する。このような水を我々の研究グループは「バイオフィルム間隙水」と呼び、その諸性質を調べてきた。その結果、バイオフィルム間隙水には外部に比べ、数百倍以上の高濃度で栄養塩が濃縮されていることが明らかになってきた。なぜ、このような高濃度で栄養塩が濃縮されているのか、そのメカニズムを解明する過程で、我々の研究グループはバイオフィルム内外のイオンの行き来を支配する明瞭な規則性を見いだした。ここでは、その規則性を
Posted On 06 10月 2015
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微生物腐食: 嫌気環境下で金属腐食を引き起こす新規硝酸塩還元菌Prolixibacter denitrificans

飯野隆夫(理研BRC-JCM)  金属材料は現代の我々の生活に必要不可欠な材料である。しかし、金属腐食により重大な性能低下や機能劣化が起き、防食や修繕のために莫大な経済的損失を招いている。金属腐食は一般的に化学的要因によるものと考えられがちで、この場合の金属腐食の発生や速度は電気化学の理論から予測できる。しかし、嫌気環境のような腐食しないはずの環境で腐食が生じたり、予測よりも著しい速度で腐食が進行することから、微生物の作用による金属腐食が疑われている。これは微生物腐食と呼ばれ、硫酸塩還元菌が主な原因菌とされてきたが、現実には、腐食発生機構の解明はおろか原因菌の正確
Posted On 06 10月 2015
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電流生成微生物の電位認識と遺伝子発現制御機構

高妻篤史(東京薬科大学 生命科学部)  微生物電気化学システム(BES)は電極電位の制御によって微生物・電極間の電流量とその方向をコントロールすることができるシステムであり、微生物細胞内の有機物代謝により生じた電子を電極によって回収する装置(微生物燃料電池)や、細胞内への電子供給によって有機物合成を促すシステム(微生物電気合成)などへの応用が可能である。BESにおいて電極電位を変化させると、短期的には単純に物理化学法則に従って電流量が変化するが長期的には、微生物の代謝応答(遺伝子発現と代謝活性の変化)を伴って電流量が変化していくと考えられる。しかし微生物がどのよう
Posted On 06 10月 2015
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IMS-1:

Organic matter-microbe interactions in the ocean – Towards a global synthesis

Nagata, Toshi1, Yokokawa, Taichi2, Hasumi, Hiroyasu1 1Atmosphere and Ocean Research Institute, The University of Tokyo, 2Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology The processing (transformation and degradation) of organic matter (OM) by microbial food webs consisting of bac
Posted On 06 10月 2015
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IMS-2:

Eco-friendly approaches based on biological control to suppress harmful algal blooms

Vo, Thi-Thao1, Lee, Changsu2, Choi, Yoon-E3 1Department of Bioactive Material Sciences, Chonbuk National Univ, 2Department of Bioprocess Engineering, Chonbuk National Univ., 3Environmental Science & Ecological Engineering, Korea Univ. Harmful algal bloom has long been of concern o
Posted On 06 10月 2015
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IMS-3:

Evolution of vertebrate symbiotic gut microbiota: the story starts from tadpoles

Chen, Chun-Yao1, Hsu, Ya-Ting2, Chang, Yung-Hsin1, Ho, Han-Chen2 1Department of Life Science, Tzu-Chi University, Hualien, Taiwan, 2Department of Anatomy, Tzu-Chi University, Hualien, Taiwan Vertebrate hosts have close symbiotic relationship with their gut microbiota. Bacteroidetes an
Posted On 06 10月 2015
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IMS-4:

Characterization and immobolization of an exoelectrogenic bacterium

Sharma Subed Chandra Dev, 1, Yu, Chang-Ping2 1Institute of Urban Environment, Chinese Academy of Sciences, Xiamen, 361021, China, 2Graduate Institute of Environmental Engineering, National Taiwan University, 10617, Taiwan A facultative anaerobic bacterium, designated as strain SCS5, i
Posted On 06 10月 2015
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JS22-1:

藻類寄生性ツボカビの分類学的研究 −未知のツボカビの正体を探る−

瀬戸 健介, 出川 洋介 筑波大学菅平高原実験センター ツボカビは、後方一本鞭毛を持つ遊走子を生じることで特徴付けられ、系統的には真菌類の初期に分岐するグループである。水圏や土壌を中心に普遍的に存在し、難分解性物質を分解する腐生性のものや藻類など他の生物に寄生するものが知られ、約1000種が記載されている。 ツボカビの中でも特に藻類に寄生するツボカビは、植物プランクトンの個体群動態に影響を与える要因の1つとして古くから認識されてきたが、近年、水圏の食物網における重要な役割が見出された。ミジンコ等の動物プランクトンは、大型植物プランクトンを直接摂食できないが、植物プ
Posted On 06 10月 2015
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JS21-1:

水圏での薬剤耐性遺伝子保有者としてのyet-to-be cultured bacteria

鈴木 聡 愛媛大  薬剤耐性菌の研究は,感受性が耐性へ変化するフェノタイプを見なければならないため,これまではコロニーを形成する細菌で研究されてきた.臨床で問題となる多くの病原菌は培養可能だが,環境中での耐性遺伝子動態を知ろうとすると,多くを占める“培養できない細菌”を見なければならない.近年のレジストーム解析は全細菌のDNAを対象にできるが,菌種との対応,および遺伝子の定量化ができない.このように,現時点では耐性菌・耐性遺伝子の研究にはいくつかの壁がある.  演者は,培養可能菌と培養できない菌(種々の生理状態があるが,ここでは便宜的にyet-to-be cult
Posted On 06 10月 2015
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