HS-249:竹で環境を守る__—竹で生分解性プラスチックをつくる—
東京都立科学技術高等学校
1.研究背景
現在プラスチックなどによる問題が深刻化してきている。
石油ではなく、活用法の少ない植物由来の生分解性プラスチックならば環境に負荷をかけずゴミも完全に分解される。そこで私たちの研究では竹由来のポリ乳酸の合成、生分解性プラスチックの作製を行い、環境問題について考察することを目的とした。
2.実験方法
2.1 リグニン処理
方法
各フラスコに粉砕した竹とNaOH、KOH、NH3を入れ、オートクレーブにかけた。その後濾過し、竹の変化を確認した。
結果と考察
NaOH、KOHで処理した竹は全体的に細かくなっていた。強塩基で処理した竹はリグニンがより多く抜けて形状を維持することができなくなったためだと考えられる。
2.2 糖化処理
方法
先の実験で得られた各濾液のpHを調整し糖化酵素を加え振盪保存した。静置後、LCでグルコース濃度を測定した。
結果と考察
NaOHのグルコース濃度が最も高く、アルカリ処理に最も適しているのはNaOHと考える。Na+はリグニンとの親和性が高いことから、リグニンがより多く溶液に溶け出し阻害されにくかったためと考えられる。
2.3 乳酸発酵、精製
方法
乳酸菌と糖化液を加え乳酸醗酵液を作成し、乳酸発酵させる。その後、乳酸発酵液に1ブタノール、硫酸を加えエステル化を行った。得られた乳酸ブチルを再び乳酸にするため純水を加え同じ装置で加水分解を行った。
結果と考察
乳酸を得ることが出来た。乳酸醗酵液がエステル化加水分解を繰り返すことで体積が減り、無色透明になった。無色透明になったことは、少なくともWCP培地などの有色の不純物は取り除くことが出来たと考えられる。
2.4 新規乳酸菌の獲得
方法
粉砕した生竹の量を変え実験した。BCP培地を用いて培養後の色の変化を観察し乳酸菌の存在を確認した。
結果と考察
乳酸菌を確認できた。ヤクルト以外の市販のヨーグルト、竹より乳酸菌を確認することができた。ヤクルトのBCP培地については培地作成中に何らかの原因でコンタミネンーションしてしまったためだと考えられる。
3.今後の課題 展望
・竹からの乳酸菌で乳酸発酵させ4種のヨーグルト乳酸菌との効率を比較する。
・IR、NMRなどで精製した乳酸の確認をする。
・精製した乳酸を重合させポリ乳酸を作製し、市販のプラスチックと比較実験を行う。
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