HS-238:天然食品のマウス腸内フローラにおよぼす影響
山村学園 山村国際高等学校
《はじめに》
天然食品のマヌカハニー(抗菌生蜂蜜)。これには抗菌活性成分の「メチルグリオキサール」が含有される。昨年は、この抗菌活性成分による高い抗菌効果を食中毒原因菌により証明した。そこで高い抗菌効果を備えているならば、腸内フローラの善玉菌と悪玉菌とのバランス改善に役立つ機能性食品として成り得るのではと考え(仮説)、検証を行った。
《材料および方法》
a.マヌカハニーと乳酸菌飲料
マヌカハニーには、最強の「メチルグリオキサール」含有量を誇る900+を使用した。また比較のために、「リスクと戦う乳酸菌」といわれる明治プロビオヨーグルトLG21も使用した。これらをヒト体重60kgあたり1日摂取量に換算(5g・10g・15g・20g・30g、LG21は1本)して、マウスに強制投与した。したがって実験区は6区、対照区は水のみとした。
b.試験マウスと条件
試験マウスには、5週令のC57BL(♂)を3匹1区として、糞尿分離に優れるマウス代謝ケージを使用した。照明は自然照明で、室温は24±2℃。なお実験は、2週間実施した。
c.腸内フローラの観察
腸内フローラの観察には、マウスの糞便をウマ血液BL培地で嫌気培養して行ったが、コロニーが小さく判定困難であった。そこで、分子生物学的手法であるT-RFLP(16SrRNA)系統解析により腸内フローラのプロファイルを観察した。
《結果および考察》
腸内フローラのプロファイルから、「善玉菌:乳酸桿菌」が多く、「日和見菌:バクテロイド」・「悪玉菌:クロストリジウム」が少ないのは、ヒト60kgあたり1日のマヌカハニー摂取量に換算したもので、5g〜10gであった。特に10g摂取は、「善玉菌」と「日和見菌+悪玉菌」との腸内フローラの比率も改善された。これを対照区の水のみと比較すると、善玉菌は約4.6倍もの増加、悪玉菌では約1/3以下に減少していた。また「リスクと戦う乳酸菌」のLG21との比較でも、善玉菌は約1.9倍もの増加、悪玉菌では約1/3に減少していた。これらの結果から、マヌカハニーは確実に腸内フローラのバランス改善に関与し、健康増進を図る機能性(表示)食品として成り得ると考察した。
《今後の展望》
PubMedの先行研究に、腸内フローラを悪化させる「食材」があった。マウスを使って悪化の原因と改善の解明に臨みたい。
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