PJ-184:Rj4遺伝子保有ダイズとの非親和性を決定する根粒菌3型エフェクター
東京農工大学
根粒菌はマメ科植物の根に根粒を形成し窒素固定を行う。多くのマメ科植物の共生では、根粒菌が分泌するNod factorを植物の受容体が認識し根粒形成シグナル伝達経路が活性化される。したがって、Nod factorは根粒形成において重要なシグナル因子であると考えられている。
一方で、ダイズ根粒菌Bradyrhizobium elkaniiはNod factorに依存せず根粒を形成し、その根粒形成には3型分泌装置が関与していることが明らかになった (Okazaki et al., 2013, PNAS)。本研究では、この特異的な根粒形成の分子機構を明らかにするため、3型分泌装置依存的に分泌されるエフェクタータンパクについて解析を行った。
B. elkanii USDA61株はRj4遺伝子を持つダイズには共生できないことが知られている。これまでの当研究室での研究により、Rj4遺伝子保有ダイズとB. elkanii USDA61株の非親和性に関与する因子として、システインプロテアーゼが同定された (Omar et al., 2015, AEM)。この遺伝子の上流域には、3型分泌タンパク質に特有の配列tts boxがあること、またN末端側にはシグナルペプチドが予測されたことから、これは3型分泌系のエフェクターであると考えられた。
Rj4遺伝子保有ダイズを用いて接種試験を行った結果、野生株であるB. elkanii USDA61株では根粒着生は見られなかったのに対し、システインプロテアーゼ変異株では根粒形成が観察された。この結果は、エフェクターがRj4ダイズへの根粒形成を負に制御していることを示唆している。
現在、エフェクタータンパクの遺伝子構造解析、遺伝子発現、分泌試験および接種試験を行っている。本発表では、エフェクターによる根粒形成の促進機構について検証する。
keywords:Cysteine protease,type III effector,Rj4 soybean