OA-36:nxrB遺伝子による深海堆積物における亜硝酸酸化細菌の検出
海洋機構
亜硝酸酸化菌(Nitrite Oxidizing Bacteria; NOB)は広汎な環境に棲息し、既知のNOBとして,系統的に全く異なるNitrobacter,Nitrococcus,Nitrospina,Nitrospira、Nitrotoga の5つのグループに分類されている。そして、亜硝酸を硝酸へ酸化する亜硝酸酸化還元酵素(NXR)はNitrobacter, NitrococcusおよびNitrolancetusのサイトプラズム型、NitrospiraとNitrospinaのペリプラズム型に大別される。Nxr遺伝子はNOBの機能的マーカー遺伝子として、サイトプラズム型NXRの検出系が構築され用いられてきた(Vanparys et al., 2007; Poly et al., 2008; Wertzet al., 2008)が、同じ検出系ではNitrospiraのようなペリプラズム型NXRの検出は出来ない。これに対し、近年、Pesterらは、Nitrospira属のnxrB遺伝子を対象として、新たな検出系の構築を試みた(Pester et al., 2013)。
これまで我々は、深海堆積物表層における無機窒素循環に関わる主要な微生物機能を明らかにするため、分子生態解析、地球化学解析を進めており、SSU rRNA遺伝子を対象とした解析結果は、深海堆積物表層における主要な亜硝酸酸化菌はNitrospinaあるいはNitrospiraであることを示唆している(Nunoura et al.,2013)。今回、我々は深海堆積物中における亜硝酸酸化の理解をより深めるため、Pesterらの検出系を深海堆積物試料に適用したがnxrB遺伝子の検出には至らなかった。そこで、Nitrospiraに対する新たなプライマー構築し、日本海溝および小笠原海溝表層堆積物を対象にその検出を試み、さらに検出された系統群と既知系統との系統関係を検討した。
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