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海洋の微生物は大気組成をどこまで変えるか
Posted On 04 10月 2015
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私たち人間は陸上動物なので、海の中を直接見ることはできません。従ってそこがどんな世界なのかはもう一つよく分かりません。また、私たちはおおよそメートル単位の世界に住んでいるので、自分たちより大きい物は見えても、小さい物となると、せいぜいミリメートル単位の物までです。それ以下の世界は顕微鏡を使わない限り、見ることはできません。つまり、海の中のそうした小さい生き物、つまり微生物についての私たちの知識は他の生物群と比較すると圧倒的に遅れてきました。つまり“遅咲きの研究領域”です。しかし、それは海の微生物が果たす役割が小さいということではありません。それどころか、近年の研究によれば、海の微生物の量と機能は地球の大気の組成を大きく変えるだけのインパクトを持っていることが確実になってきました。
ここでは、主に酸素と炭酸ガスの話をします。酸素を作り出しているのは陸上植物の役割と思われてきましたが、海の植物プランクトンは陸上植物に匹敵する量を産生しています。また、海の中には様々な有機態炭素が大気中の炭酸ガスとほぼ同量蓄積しており、それを微生物が炭酸ガスに変えて大気に放出しています。こうした海洋の微生物の役割についてお話しします。