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環境水中のレジオネラ属菌による呼吸器系感染症
Posted On 04 10月 2015
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肺炎などの呼吸器系疾患の原因菌であるレジオネラ属菌が我国で広く知られるようになったのは、今から30年前のことです。近年、このレジオネラ属菌が温泉水を汚染しており、健康被害をもたらしていることがわかってきました。しかし、レジオネラ属菌の病原性は弱く、誰でもが発症するわけではありません。レジオネラ属菌は土壌などの自然界に広く生息しており、温泉水を汚染する機会は多々あります。レジオネラ属菌はアメーバの細胞内でも増殖できるという少し変わった性質を持っています。
2002年には宮崎県の温泉浴場施設において、レジオネラ属菌によって295名が発症し、7名が死亡するというこれまでに最大の集団感染を経験しています。この施設では循環式浴槽水の衛生的管理の不備が指摘されました。全国の温泉水349試料について調査した結果では、106試料(30.4%)からレジオネラ属菌が検出されました。また、天然温泉付き分譲マンションの温泉給湯設備からもレジオネラ属菌が検出されていますが、今のところ健康被害は報告されていません。レジオネラ属菌のような自然環境に生息している環境微生物とヒトとの関係は今後の重要課題です。