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大気中の温室効果ガス濃度変化に及ぼす微生物の役割
Posted On 04 10月 2015
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生物と生態系を構成する主要元素である炭素と窒素は生物と環境の間を絶えず循環していますが、微生物はそれらの元素の地球規模での循環を安定に司る役割を果たしています。しかし、人類が化石燃料や化学肥料を使用し、農地を拡大したことなどから、これらの元素の地球規模での循環量は大きく増加し、生態系の微生物の活動が活性化され、その結果、さまざまな環境問題が引き起こされています。その代表的な例が、温室効果ガスであるメタン(CH4)と一酸化二窒素(N2O)の大気中濃度の増加で、ともに、環境中に生息する微生物により生成され、大気へ放出されています。メタンは水田土壌や反すう動物の消化管内に生息するメタン生成古細菌の活動によるものです。一方、一酸化二窒素は、土壌や水系に分布する硝化菌や脱窒菌の活動の副生成物として放出されます。いずれのガスも農業活動を主な発生源としており、増加する人口に対応するための食料増産により、大気中濃度が増加したと結論されます。今後も増加を続ける地球の人口に十分な食料を供給するとともに、地球温暖化を緩和するため、微生物の地球規模での役割を制御する方策が必要とされています。