PJ-175:歯周病原性細菌Eikenella corrodensにおけるオートインデューサー不活化機構の解析
山口大学農学部
バクテリアはオートインデューサーと呼ばれるシグナルを使うことで、同種間、
異種間のコミュニケーションを行っている。歯周病原性細菌Eikenella corro
densはAI-2というオートインデューサーを使ってコミュニケーションしなが
らその病原性を調節している。最近、E. corrodens 1073株が対数増殖期
でAI-2を大量に生産するが、定常期に入ると急激に減少することがわかった。そ
こで、本菌の培養上清からイオン交換クロマトグラフィーによりAI-2およびMHF
を不活化する因子の精製を行い、N末端アミノ酸シークエンスを行った結果、***
E. corrodens*** 23834株の外膜ポーリンのものと一致した。そこで、外膜ポー
リンをコードする遺伝子porAの欠損株を作成し、AI-2の生産量を調べた
。AI-2の生産量はVibrio harveyi BB170をセンサー株として測定した。
その結果、野生株で見られた定常期におけるAI-2の著しい減少がporA欠
損株では見られなかった。また、精製したポーリンとMHFをインキュベートする
ことで、MHFのAI-2活性が減少した。これらのことから、外膜ポーリンがAI-2の
不活化に関与していることが示唆された。さらに、ポーリンとインキュベートす
ることにより、MHFは逆相クロマトグラフィーにおいてピークのシフトが見られ
た。しかし、ポーリンとインキュベーションした前後のMHFをLC-MS解析したとこ
ろ、構造の違いは見られなかった。現在、ポーリンがどのようにAI-2を不活化す
るのかを調べている。
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