PB-035:非常に低い濃度のNH4+(36 _ 150 _M)を含む培地による好気性アンモニア酸化微生物(AOM)のMPN計数
1中央大学理工学部, 2東京大学大学院農学生命科学研究科
【目的】 環境中では,oligotrophicなアンモニア酸化微生物(AOM)が重要であると考えられており,アンモニア酸化古細菌(AOA)もそうである。これまで,1 mMレベルより低いNH4+を含む培地での計数および分離例はほとんどないが,これは,技術的な困難を伴うためと考えられる。本研究では,36 _ 150 _MのNH4+を含む培地を用いて,土壌中のAOMをMPN計数し,問題点と,その解決策を示す。【方法】 Suwaら(1994)のC基礎培地(pH 7.6)に,NH4+を0.036, 0.15, 1.5, 75 mM添加し,それぞれCUL2, CUL, CL, CH培地とした。CUL+0.15 mM NO2− + NO3−をCULN培地, これに土壌抽出液を培地の10%相当添加してNEX培地とした。これらを用いて,北浦の堆積物,茨城県の谷津田および畑土壌のAOMをMPN計数した。【結果】 36 _M NH4+を含むCUL2培地で堆積物中のAOMをMPN計数した結果,より低い希釈率の試料懸濁液を接種した培養でNO2−+NO3−が検出されなかったが,より高い希釈率の懸濁液を接種した培養でNO2−+NO3−が検出された.前者では生成されたNO2−+NO3−が消費されたと考えられた.この解決策として;1) 15NH4+をやや高めの濃度で基質とし,2) 硝化によって生成したNO2−+NO3−が消費し尽されないように予めNO2−+NO3−を加えた培地(CULN培地)を作成し,畑土壌のAOMをMPN計数した。生成した15NO2−+15NO3−はGC/MSで検出した。その結果,従来,汎用されてきたCL培地でのMPN計数値を14.5倍上回る計数値を得た。この方法はNO2−+NO3−が若干含まれる土壌抽出液を含む培地(NEX培地)によるMPN計数にも適用でき,CULN培地と同様の計数値を得た。この結果は,これまで未知のAOMが計数の対象となった可能性を示唆し,現在,培養されたAOMの系統を解析中である。
keywords:ammonia oxidizers,ammonium concentration,MPN enumeration