PB-041:高温性硝化細菌による太陽熱消毒後の土壌硝化活性の回復
1九沖農研, 2宮崎農試
目的:太陽熱消毒は、土壌病害性生物や雑草種子の低減に高い効果が認められているが、土壌中のアンモニア態窒素を硝酸態窒素に変える硝化細菌の復元が遅く、太陽熱消毒をしない場合と比べて、土壌の硝化活性が低い状態が続く。太陽熱消毒後の硝化活性の低下により、一部の施設圃場では過剰に蓄積されたアンモニア態窒素による障害が懸念されている。そこで、50〜55℃の高温下で生育可能な新規の高温性硝化細菌を太陽熱消毒前の施設土壌に添加し、土壌中のアンモニア態窒素濃度および硝酸態窒素濃度、接種した高温性硝化細菌数の時間的変化を調べ、高温性硝化細菌添加による硝化促進効果を調べる。
方法:宮崎県総合農業試験場ハウス圃場の有機質肥料区および焼酎粕濃縮液区に、高温性硝化細菌の添加区と無添加区を設けた。高温性硝化細菌の懸濁液を太陽熱消毒前の土壌に添加混合し、太陽熱消毒処理を行った。各処理区の土壌(深さ10cm)を数回サンプリングし、土壌中のアンモニア態窒素濃度および硝酸態窒素濃度の時間的変化を調査した。また、高温性硝化細菌は、選択培地を用いて50℃で3日間培養して計数した。
結果と考察:有機質肥料区に高温性硝化細菌を添加したところ、高温性硝化細菌の無添加区に比べて、硝酸・亜硝酸態窒素は8倍程度増加しており、アンモニア態窒素は減少傾向にあった。また、焼酎粕濃縮液区に高温性硝化細菌を添加したところ、高温性硝化細菌の無添加区に比べて、硝酸・亜硝酸態窒素は15倍程度増加しており、アンモニア態窒素は減少傾向にあった。高温性硝化細菌数は、太陽熱消毒期間の高温時期から増加しており、高温性硝化細菌の添加による硝化促進効果が確認された。
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