PB-034:How are you living, Verrucomicrobia? What’s your life mode like?
1東京大学・大学院農学生命科学研究科, 2産業技術総合研究所・北海道センター, 3新潟県農業総合研究所・基盤研究部
代表的な難培養性細菌であるverrucomicrobia門は、土壌細菌が属す代表的な9つの門の1つであり(ISME J. 2009. 3:305-313)、土壌中の存在量が予想外に多く、時に優占することさえも示されているが(Soil Biol. Biochem. 2011. 43:1450-1455)、これまでに分離された培養株が非常に少なく、その生態や機能は未解明である。
本研究では、水田土壌におけるverrucomicrobia門細菌の生態を探るため、新潟県農業総合研究所の水田圃場を調査地とし、酸化層、還元層、および根圏の土壌におけるverrucomicrobia門細菌の相対的生息量や分類組成を、16S rRNA遺伝子アンプリコンの大量シーケンスによって解析した。その結果、細菌群集構造は時期や水田土壌の部位によって大きく変動することはなく安定していること、また、verrucomicrobia門細菌は、酸化層で約10%、還元層および根圏では約7%存在していることが明らかになった。また、verrucomicrobia門の中でもSubdivision 3の存在比率が平均して約50%と優占していた。また、Subdivision 1は酸化層に有意に多く存在するが、6月から9月にかけて時間経過とともに漸減することが示された。
また、上記の水田土壌から分離されたverrucomicrobia門Subdivisions 2および4に属する土壌細菌のドラフトゲノム解析を行った。そして、得られたデータに、データベースにて公開されている他のverrucomicrobia門細菌株のゲノム情報も加え、特に糖代謝関連遺伝子(CAZymes)に焦点を当てverrucomicrobia門細菌の保有遺伝子の特徴を探った。その結果、解析に供したデータからは、Subdivisions 2および4は、他の細菌門に比べ保有するCAZymesが極めて多いことが示された。また、保有するCAZymesの組成に注目すると、verrucomicrobia門細菌は、他の細菌群がほとんど保有していない糖分解酵素遺伝子を多数保有するなど、糖代謝ポテンシャルの高さや多様性の大きさが示された。
keywords:Verrucomicrobia,難培養 rarely- or non-cultivable bacteria,水田土壌 paddy soil,群集構造 community structure,ゲノム genome