PA-025:メタゲノム解析によるシャットネラ赤潮と連動する生物配列の探索
Posted On 06 10月 2015
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1遺伝研, 2九大院・農, 3熊本水研セ, 4鹿児島水技セ, 5対馬水産業普及指導セ, 6福岡農林水産部, 7水研セ中央水研, 8水研セ本部
ラフィド藻類のシャットネラ属(Chattonella)による赤潮は、養殖魚類の大量斃死をもたらすことで知られており、近年では2009年と2010年に九州地方で大規模発生が起き、大きな被害が生じた。我々は、シャットネラ赤潮と連動する微生物群を明らかにすることを目的として、海水中の微生物DNAを抽出し、シャットネラ赤潮と連動する特徴配列の探索及び微生物群の同定を行った。海水のサンプリングは2011-2012年に九州地方の7沿岸域で行われ、Chattonella marina var. antiquaによる小規模な赤潮9サンプルと非赤潮40サンプルの計49サンプルを得た。これらのサンプルは8、1、0.2μmフィルターでろ過され、捕捉した試料からDNAを抽出した。主に細菌がろ過された0.2μm フィルター試料を対象に、RocheGS-FLXによるショットガンシーケンスを行った。得られたリードからコンティグを作成し、それに対するリードマッピングを行い、赤潮サンプルと非赤潮サンプルの2群間比較を行った。統計的に有意な違いがあるコンティグを抽出し、分類群の割り当てを行ったところ、赤潮時に相対量が増加する主な分類群としてAlphaproteobacteria綱Rhodobacterales目が、非赤潮時に相対量が増加する主な分類群としてGammaproteobacteria綱が検出された。これら細菌分類群の変動とシャットネラとの関連について議論する。
keywords:メタゲノミクス,シャットネラ赤潮,細菌群集,二群間比較