PD-057:1,4-ジオキサン資化性放線菌の広宿主域プラスミドを用いた大腸菌の形質転換
1東京海洋大学大学院, 2東京大学大気海洋研究所
世界的に汚染が分布する1,4-ジオキサン(以下DO)分解遺伝子であるdxmAが自然界から高頻度に検出される(Li et. al., 2013; Li et. al., 2014)一方,DO分解菌分離数は9株と僅少で,難培養性微生物の一員として存在する.従って,分離努力と並行し,環境汚染物質分解遺伝子の易培養性微生物への転移技術開発は喫緊の課題である.
有機合成工場排水中から分離したDO分解放線菌No.11株は,Pseudonocardia dioxanivorans CB1190株の16S rDNA, gyrB塩基配列とそれぞれ97%以上の相同性を示し,同株のDO分解を担うプラスミドpPSED02(137 kb)はTi-型接合伝達機構を持つ.No.11株, CB1190株を,DOのみを炭素・エネルギー源としたMSM培地で定常期まで培養した菌体(cells: No.11株1.0E+11;CB1190 1.43.E+11)から矢野法でプラスミド画分(_g:No.11株72;CB1190 77)を得,受容大腸菌DH5α[deoR endA1 gyrA96 hsdR17(rk– mk+) phoA recA1 relA1 supE44 thi-1Δ(lacZYA-argF) U169 φ80dlacZΔM15 F– λ–]へMSM培地で選択した結果,約8E+8 CFU/_gの効率で継代培養可能な形質転換株が得られた. DO資化性が放線菌から門を超えて大腸菌へ伝達したことより,このプラスミドは広宿主域であり,異系統間でのバイオレメディエーション新技術開発への適応が期待できる.
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