PH-105:Sphingomonas属プラスミドpYAN-2の非コードDNA領域による安定分配機構の解析
茨城大学農学部
プラスミドは細胞内で染色体とは独立して複製し、安定的に娘細胞へと分配される。この分配機構は遺伝子工学的な観点において非常に重要であり、いくつかの安定分配機構は明らかになってきた。
我々は多環芳香族炭化水素分解能に優れたSphingobium yanoikuyaeからpYAN-2を分離同定し、このプラスミドが自身の非コードDNA領域のみに依存した分配を行うcis分配システムを持つこと、その非コードDNA領域であるpar-siteが、par-siteを持たない不安定な大腸菌プラスミドpSC101を安定化させることを明らかにした。pSC101のpar-siteには宿主由来のDNA gyraseが結合するがpYAN-2では観察されなかったことから、他の宿主由来タンパク質が関与してプラスミドを娘細胞に安定的に分配していると考えられた。
そこで、プラスミドの安定分配に関わる宿主由来タンパク質を探索するために、DNA結合タンパク質および膜タンパク質関連遺伝子の遺伝子破壊株を宿主に用い、同株内での大腸菌プラスミドpSC101(pYAN-2由来非コードDNA領域の挿入により安定化したプラスミド)の安定性を調べた。また、pYAN-2のpar-site挿入はpSC101のコピー数に影響を与えるのかを明らかにするために、定量PCRを用いたプラスミドのコピー数測定を行った。その結果,いくつかの不安定性を示す大腸菌変異株を見出し、安定分配に影響を与えうる宿主由来タンパク質が明らかになった。
keywords:プラスミド,Sphingobium