PB-045:不耕起・草生畑地土壌中に形成される土壌団粒の真核微生物群集構造解析
1茨大院農, 2茨大農, 3中央農業総合研究センター
環境保全型農法の不耕起・草生栽培は土壌団粒形成を促進させ,土壌機能の維持・向上と土壌生物性の多様化が期待される.これまでに不耕起・草生栽培した畑地土壌の微生物群集構造は季節変動することが示された.本研究では,土壌団粒構造の形成と土壌微生物との関係を明らかにするため,不耕起・草生畑地の耐水性団粒組成割合およびその土壌微生物群集構造を解析した.試験区は,茨城大学農学部附属フィールドサイエンス教育研究センターの圃場で,2009年から継続的に管理されている不耕起・無施肥(NN)区,耕起・無施肥(TN)区の各4反復を対象とした.2015年5月,7月に表層0_5 cmから土壌を採取し,メッシュサイズ2.0,1.0,0.5,0.25および0.1 mmの篩を使用して水中篩別法で分画した.各画分について耐水性団粒組成割合を解析し,DNAの抽出を行った.真核微生物群集構造は,抽出DNAを用いて,内部転写スペーサー(ITS)領域を標的としたPCR-末端制限断片長多型(T-RFLP)法により評価した.耐水性団粒組成割合は,NN区土壌では2.0 mm以上の画分で最も多く,全画分のなかで占める割合は28%(5月),41%(7月)であった.TN区土壌では,2.0 mm以上の団粒が占める割合が16%(5月),18%(7月)であり,最も多かったのは0.25_0.5 mmのサイズで全体の23%(5月),20%(7月)であった.T-RFLP解析から,TN区土壌はNN区よりもT-RFs数が多く、団粒サイズが小さいほど高い多様性を示すことが示された.以上の結果より,不耕起による土壌管理方法は2.0 mm以上の団粒形成を促進し,その団粒画分では特定の真核微生物グループが優占することが推察された.
keywords:微生物群集構造,不耕起・草生栽培,耐水性土壌団粒