PB-040:土のミクロ団粒内に見られる異形の細菌細胞群:その2
Posted On 06 10月 2015
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1アチックラボ
前報では世界各地から採取した土のミクロ団粒を固定染色後、その超薄切片をTEM観察した結果を報告した。今回は、仙台市広瀬川河畔及び東北大川渡実験圃場の草地から採取したミクロ団粒を、DNB寒天平板上で約1ヶ月25℃で培養後、固定染色し、その超薄切片のTEM観察を行った。
(結果)前報の試料(非培養)の細菌像に比べ、培養試料の細菌像には、以下の特徴が認められた。
①培養ミクロ団粒中の細菌の多くに、不自然な突起や割れ目など、極めて異常な形態が認められる。
②前報の非培養ミクロ団粒に比べ、培養ミクロ団粒中の細菌の多くは、外膜と周囲の境界がはっきりしていない。
③しかしその一方で、培養ミクロ団粒中の細菌でも、稀には、細胞内外の境界領域らしき部分を識別できるもの、細胞質内に不規則ではあるが膜構造形成が認められるものがある。
(考察)前報の非培養ミクロ団粒、今回の培養ミクロ団粒中の細菌に共通していることは、土壌から単離し、実験室内で培養した土壌細菌の切片像に比べ、外形の異常さ及び内部構造や細胞境界の不明確さが著しいことである。こうした違いは、細菌のどのような事情を反映しているのだろうか。今後解明すべき重要課題である。筆者らは、ミクロ団粒内に集積する「シリカ・ナノ粒子中の鉱物化状態細菌」の、増殖開始時の特異的な現象ではないかと推定している。
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