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P26-11 : Paenibacillus属細菌のバイオフィルム中に形成される芽胞と 浮遊菌由来の芽胞は異なる性質を有する
Posted On 20 10月 2014
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1筑波大院・生命環境, 2花王・安全性科学研, 3, ,
グラム陽性菌のPaenibacillus属細菌は、バイオフィルム及び芽胞形成能を持つ。さらに本属菌が形成する芽胞は強力な殺菌剤に対しても耐性を持つことから、完全に除去することが困難であり、食品腐敗や製品劣化の原因となる。しかしPaenibacillus属細菌のバイオフィルムや芽胞形成に関する知見は少なく、それらの制御につながる新規知見が求められている。そこで、本研究では環境中から単離されたPaenibacillus属細菌におけるバイオフィルムや芽胞形成の詳細解析を行うことで、それらの制御につながる基礎的知見を得ることを目的とした。 はじめに、供試菌6種13株を用い、バイオフィルムを形成させた。その結果P. glucanolyticusとP. polymyxaの2株において顕著なバイオフィルム形成が見られた。また、これらの株において芽胞形成能を解析したところ、いずれの株においても浮遊菌と比較してバイオフィルム中により多くの芽胞を形成することが分かった。さらにバイオフィルム及び浮遊菌中に形成した芽胞を精製し、熱耐性を比較したところ、バイオフィルム中に形成した芽胞は浮遊菌由来の芽胞よりもサイズが大きい上、熱耐性が向上していた。以上の結果から、本属菌においてバイオフィルム中は芽胞形成により適した環境であり、バイオフィルム中に芽胞を形成することでより高い耐性を獲得している可能性が考えられた。本研究より、実環境中においては、本属菌はバイオフィルム状態で存在し、より高い耐性を持った芽胞を形成していると考えられることから、本属菌のバイオフィルム形成の制御の重要性が示唆された。
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