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P26-10 : 抗菌材の抗菌効果に光が及ぼす影響
Posted On 20 10月 2014
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1立命館大院・生命科学, 2立命館大・生命科学, 3, ,
抗菌とは細菌の増殖を抑制することであり、抗菌効果を付与した材質を抗菌材という。銀系無機抗菌材 (ノバロンAG1100、東亞合成) の抗菌効果には、銀イオンによるものと、抗菌材に光が照射されることによって発生する活性酸素によるものの2種類が考えられているが、その詳細は未だ明らかにされていない。そこで本研究では、マイクロカルチャー法 (任意の基質表面で細菌を培養し、その増殖の様子を顕微鏡で直接観察する方法) を用いて大腸菌を培養し、コロニーの面積の経時変化から増殖速度定数を求め、有光・無光条件下での抗菌効果を解析することを目的とした。
抗菌材 (ノバロンAG1100) 上で大腸菌を培養すると、無光条件でも有光条件でも増殖速度定数が非抗菌材の84 %に低下した。同条件で光触媒 (光を照射すると活性酸素が発生することがわかっている抗菌材) 上で大腸菌を培養したところ、無光条件では増殖速度定数が非抗菌材と同程度になり、有光条件では非抗菌材の85 %に低下した。これらのことから、抗菌材 (ノバロン) の抗菌効果は有光、無光両条件で銀イオンによるものであること、また、光触媒は有光条件でのみ活性酸素による抗菌効果を示すことが明らかとなった。抗菌材 (ノバロン) では活性酸素が発生していないか、発生していたとしても大腸菌への影響が確認できない程小さかったと考えられた。
keywords:Antimicrobial surface,Silver ion,Active oxygen,Escherichia coli,Microculture