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P25-39 : 微生物細胞間コミュニケーションがChromobacterium violaceumの脱窒に及ぼす影響
Posted On 20 10月 2014
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1筑波大・院生命環境, 2, 3, ,
細菌はシグナル物質を細胞外へ放出し,これを介して細胞間コミュニケーションを行い、周囲の菌体密度依存的にバイオフィルム形成や毒素生産など様々な代謝を調節している。Chromobacterium violaceumは土壌や淡水中に生息するグラム陰性細菌であり、側鎖の長さが異なる様々なアシル化ホモセリンンラクトン(AHL)を認識できるため、環境中で様々な細菌が生産するAHLに応答すると考えられる。細胞間コミュニケーションを介した代謝の研究はこれまで盛んに行われているが、好気条件下における報告が中心であり、無酸素条件下における知見は限られる。無酸素条件下では、細胞間コミュニケーションにより緑膿菌の脱窒が抑制されることが報告されているが、自身が生産しないAHLへの応答に関する報告は無い。本研究では、AHL合成遺伝子を欠損させたC. violaceum株にAHLを添加し、無酸素脱窒条件下で培養を行った。その結果、AHL非生産株は野生株と比べ、2倍の菌体量まで生育したが、AHLを添加すると野生株と同程度まで生育が抑制された。C. violaceumはNO3−をN2Oまで還元する部分脱窒細菌であり,AHL非生産株は野生株と比べ9倍のN2Oを生産し、AHLを添加すると野生株と同程度まで生産が抑制された。これらの結果から、C. violaceumは無酸素環境中において細胞間コミュニケーションを介して自らの生育を制御していることが示された。AHLは多くのグラム陰性細菌により生産されることから、細菌は環境中で細胞間コミュニケーションを介して生育を制御し生息していることが考えられる。
keywords:Quorum sensing,Denitrification,N-acyl-L-homoserine lactone,,