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P25-1 : 共生系への合成生物学的アプローチ
Posted On 20 10月 2014
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1東京工業大・総合理工学・知能システム科学, 2東京工業大・情報生命, 3, ,
微生物の多くは種間相互作用により、互いの個体群動態に影響を及ぼし合いながら共生系を形成している。共生系は自然界のいたるところで見受けられ、その個体群動態が複雑な挙動を示すだけでなく、進化にも影響を及ぼすことから、生物学の様々な分野で重要なテーマとなっている。
共生系研究のアプローチとしては、「自然界に実在する共生系を探し出す」、「生物実験で相互作用の因子を解明する」、「共生系を数理モデルで表現しシミュレーションや解析を行う」ということが主に行われている。その他には、自然の生物種を実験環境に集め人工生態系を構築するというアプローチもある。我々はこれらとは別に、合成生物学的アプローチにより共生系を解明することを目指している。
合成生物学では複数の遺伝子を組み合わせた人工遺伝子回路を細胞に導入し、所望の機能を持った生物を設計、構築するという手法が用いられる。我々はこの合成生物学的手法を用いて、相互作用により互いに恩恵を受けあう2種類の遺伝子組換え大腸菌を作製し、人工共生系を構築した。実在する共生系を調べるという手法ではなく、設計したものが共生系として働くかどうか調べるリバースエンジニアリング的手法ともいえる。構成要素から共生系を作製することには、未知の因子からの影響を抑えることや、共生系の各パラメータを容易に調節することができるという利点がある。我々はこのような人工共生系を用いて、共生系の設計原理に関する知見を深めた。
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