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P25-9 : 青枯病菌Ralstonia solanacearumの植物感染に重要な走化性物質の探索
Posted On 20 10月 2014
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1広島大・院先端物質科学・分子生命機能科学, 2, 3, ,
【目的】青枯病菌Ralstonia solanacearumは土壌伝染性植物病原菌である。青枯病菌の植物感染には走化性が関与すると報告されている。青枯病菌は根滲出液成分に誘引され感染に至ると考えられるが、いずれの物質が感染に重要であるかは未だ不明である。そこで本研究では、青枯病菌の植物感染に重要な走化性物質の探索を試みた。
【方法・結果】青枯病菌の植物関連物質に対する走化性を測定したところ、根滲出液主要成分とされるアミノ酸、L-リンゴ酸、クエン酸が非常に強い誘引物質であることが明らかとなった。走化性はセンサータンパク質(MCP)が物質を感知することで生じるため、これら誘引物質に対するMCPの特定を試みた。青枯病菌の保有する22 MCPsの単独破壊株ライブラリを用いた解析により、アミノ酸、L-リンゴ酸、クエン酸を感知するMCPの特定に成功した。さらに、当該MCP破壊株を用いた植物実験によりL-リンゴ酸が感染に重要な走化性物質であることが明らかとなった。走化性完全欠損株との比較から、L-リンゴ酸の他にも重要な走化性の存在が示唆されたが、アミノ酸及びクエン酸走化性の感染への影響は見られなかった。強い誘引物質であったアミノ酸及びクエン酸が感染に影響しなかった理由として、トマト根滲出液において含有量が低い可能性、また青枯病菌で走化性測定系と植物実験系での走化性応答が異なる可能性が考えられる。これら2つの可能性を想定して、HPLC及びGC-MSでの根滲出液成分解析及び培養条件に影響されない走化性測定及びMCP機能特定法の検討を行っている。
keywords:Ralstonia solanacearum,Chemotaxis,Methyl-accepting chemotaxis protein,Root exudate,Bacterial wilt disease