Previous Story
P25-38 : 緑膿菌のQuorum sensingが口腔バイオフィルムを制御する?
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1筑波大・院生命環境, 2, 3, ,
【背景と目的】環境常在菌である緑膿菌は、口腔内にも存在することが知られている。口腔における緑膿菌は非常に数の少ないマイナーな細菌だが、口腔ケアが不十分な高齢者では高頻度に検出され、敗血症や感染性心内膜炎、誤嚥性肺炎と言った重篤な疾患の原因となる。通常、口腔内には数百種の細菌が存在し、それらがバイオフィルム(BF)を形成することで恒常性が保たれている。こうした中で、緑膿菌が病原性を発揮するためには、常在菌を抑え、口腔で優占化する必要があるが、その機構については未解明である。そこで、本研究では、代表的な口腔細菌であるStreptococciと緑膿菌との相互作用を調べることで、口腔における緑膿菌の優占化機構の解明を目指した。
【方法と結果】モデルStreptococciとしてう蝕原生細菌であるStreptococcus mutansを用いて緑膿菌との共培養実験を行なった。その結果、単独培養時と比較して、緑膿菌と共培養時にはS. mutansのBFの形成量が顕著に減少することが見出された。加熱した緑膿菌の培養上清を添加した場合でも、同様の結果がみられたことから、熱安定性のBF抑制因子の存在が示唆された。さらに緑膿菌の毒素や運動性を制御するQuorum sensing(QS)と呼ばれる機構の変異株を用いて同様の実験を行なうと、QS変異株ではS. mutansのBFの形成抑制効果が減少した。これらの結果は、緑膿菌がQSを介して口腔BFを抑制している可能性を示唆している。
keywords:Quorum sensing,biofilm,,,