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P25-16 : 植物由来Pseudomonas属細菌による抗菌物質2,4-ジアセチルフロログルシノール生産機構の解析
Posted On 20 10月 2014
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1宇都宮大・院工・物質環境化学, 2農研機構・本部, 3, ,
ある種のPseudomonas属細菌は、抗菌物質である2,4-ジアセチルフロログルシノール(DAPG)を生産する。DAPGは植物病原性真菌に対して増殖阻害効果を示すが、Fusarium属真菌の菌体外代謝物であるフザリン酸によってDAPG生産が阻害される。本研究では、フザリン酸によりDAPG生産阻害を受けるPseudomonas属細菌の系統解析を行うとともに、フザリン酸によるDAPG生産阻害機構の解析を行った。様々な植物より単離したDAPG生産性Pseudomonas菌株について16S rRNA塩基配列を基にした系統解析を行った結果、9グループに分類できることが明らかとなった。これらの菌株をフザリン酸添加培地で培養し、培養上清中のDAPGをC18逆相カラムを用いたHPLCにより検出したところ、ほとんどの系統の菌株ではDAPG生産量がほぼ消失したが、グループ3に属する菌株に対してのみ阻害効果が軽微であった。また、フザリン酸の基本骨格であるピリジンカルボン酸を有する類縁体を用いて同様の検証を行ったところ、多くの類縁体でフザリン酸よりもDAPG阻害能は低下したが、一部の類縁物質にはDAPG生産能を向上させる効果がある可能性が示唆された。次に、グループ2に属するSt29株、グループ4に属するSt290株についてDAPG合成遺伝子クラスターの各遺伝子破壊株を作成したところ、DAPGの自己分解に寄与する遺伝子phlGの破壊によってDAPG生産量が増加し、フザリン酸センサーと考えられているphlFを破壊することにより、フザリン酸によるDAPG生産阻害効果が消失することが明らかとなった。
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