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P25-14 : クロストリジウム属細菌が産生するメンブランベシクルは宿主細胞と相互作用する
Posted On 20 10月 2014
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1筑波大・生物資源, 2筑波大・院生命環境, 3国立感染研・細菌第一, ,
多くの微生物は10~300 nmのメンブランベシクル(MV)を生産し、分泌する。MVは核酸やタンパク質などを含有することから、遺伝子の水平伝播や毒素等の輸送に関与していることが示唆されている。MVはグラム陰性細菌でその生産が多く報告されている一方、外膜が存在しないグラム陽性菌における報告は少ない。グラム陽性偏性嫌気性細菌であるウェルシュ菌(Clostridium perfringens)は土壌などの自然環境中に広く分布している。また、ヒトを含む動物の腸管内に常在し、多くの毒素や細胞外酵素を産生することから食中毒やガス壊疽の原因菌として知られている。我々はウェルシュ菌がDNAやタンパク質を含むMVを産生することを見出した。ウェルシュ菌の胞子形成不全株(Δspo0A)ではMV産生が見られなかったことから、本菌のMV産生は能動的過程であることが示唆された。ウェルシュ菌MVをマウスマクロファージ様細胞J774.1に添加したところ、Toll-like receptor 2(TLR2)の発現上昇や、IL-6やTNF-aといった各種炎症性サイトカインの放出を誘導した。TLR2はグラム陽性菌表層の主要な構成成分であるペプチドグリカンの受容体であることから、MV中のペプチドグリカンによって各種炎症性サイトカインの誘導が引き起こされると考えられた。以上のことから、ウェルシュ菌はMVを用いて宿主細胞と相互作用をし、炎症反応を引き起こすことが示唆された。
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