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P25-8 : 根コロニー形成に関わる走化性の「個性」 -植物有益細菌と植物病原菌の比較から-
Posted On 20 10月 2014
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1広島大・院先端物質科学・分子生命機能科学, 2, 3, ,
【目的】走化性とは、化合物の濃度勾配を感知して誘引または忌避応答を示す行動である。運動性をもつ土壌細菌は、植物根滲出液などを目標にした走化性により根圏へと接近し、植物根にコロニーを形成すると考えられている。そのため、植物-微生物相互作用において走化性は重要である。しかし、多様な土壌細菌において根コロニー形成に関わる走化性機構が同一であるか不明である。本研究では、植物有益細菌Pseudomonas fluorescensと土壌伝染性病原菌Ralstonia solanacearumの走化性解析・比較により根コロニー形成に関わる走化性「個性」の解明を試みた。
【結果】P. fluorescens Pf0-1株およびR. solanacearum Ps29株の65種化合物に対する走化性を測定した。根滲出液の主要画分のうち、14種アミノ酸、L-リンゴ酸、コハク酸、フマル酸は両株に共通して強い誘引物質であった。また、Asp、Gly、Lys、ProはPf0-1株のみが誘引応答を示した。一方、Ps29株はGlu、Trp、クエン酸など根滲出液主要成分の他、D-リンゴ酸、フィチン酸、ジャスモン酸に対しても強く誘引された。走化性は、走化性センサータンパク質(MCP)が物質を感知することで生じる。アミノ酸配列の比較によると両株で相同なMCPはわずか9つであり、Pf0-1株ではMCPの78%が非相同MCPであった。根コロニー形成に重要な走化性は株によって異なり、Pf0-1株はアミノ酸、Ps29株はL-リンゴ酸が重要であった。現在、この原因について解析するとともに、重要なMCPの更なる特定を試みている。
keywords:Chemotaxis,Methyl-accepting Chemotaxis Protein,PGPR,Pseudomonas fluorescens,Bacterial wilt