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P25-7 : 水生植物-微生物共生系を構成する新規植物成長促進根圏微生物
Posted On 20 10月 2014
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1産総研・生物プロセス研究部門, 2山梨大・院医学工学総合研究部, 3北海道大・院地球環境科学, 大阪大・院工,
【目的】近年、陸生植物と同様に水生植物にもその成長を促進する根圏微生物(PGPR:Plant Growth Promoting Rhizobacteria)が発見された。しかしながら、水生植物のPGPRは1種しか報告がなく、水生植物と根圏微生物の共生系に関する知見は非常に少ない。そこで、本研究では、水生植物のPGPRを広範に探索し、その植物成長促進効果について多角的な評価を実施した。【方法】無菌コウキクサ(Lemna minor)と供試菌株を植物用無機培地(Hoagland培地)に接種し、14日間培養した。その間、コウキクサの葉状体数を測定するとともに、培養後、乾燥重量、全クロロフィル量を測定した。さらにコウキクサの根圏の顕微鏡観察を行った。また、見出したPGPRについて、植物ホルモン生産能、リンと鉄の可溶化能を評価した。【結果】水生植物のPGPR探索の結果、成長促進効果が著しく高い4株の新規根圏微生物を見出した。実際に、これら4株の添加系では、無添加系に比べてコウキクサの葉状体数が2倍以上、また乾燥重量が2倍以上増大し、さらに全クロロフィル量も5倍以上増加した。さらに、上記PGPRがコウキクサの根圏に付着している様子が観察された。上記4株中3株は、陸上植物の成長促進因子として知られる鉄可溶化能(シデロフォア生産能)が陽性であったものの、植物ホルモン生産能やリンの可溶化能は陰性であった。培地には十分な可溶化鉄が供給されていることから、今回発見したPGPRによる水生植物成長促進は、陸生植物のPGPRとは異なるメカニズムによってもたらされている可能性が示唆された。
keywords:水生植物,根圏微生物,共生,PGPR,