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P24-6 : 超好熱アーキア由来 S-layer タンパク質発現大腸菌の免疫顕微鏡観察
Posted On 20 10月 2014
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1北海道大学理学部生物科学科, 2北海道大学大学院地球環境科学研究院, 3, ,
超好熱菌とは至適生育温度80℃以上の原核生物の総称である。その多くがアーキアに分類され、系統解析や分子生物学・生化学的解析から、アーキアは原始生命体に近く、細菌よりも真核生物に近縁であることがわかっている。すなわち、超好熱性アーキアは真核生物の起源に最も近い原核生物であると推測されている。
環境中において多くの微生物はコロニーやバイオフィルムなどの高次構造体を形成し、細胞同士が化学シグナルのやり取りをし、あたかも多細胞生物のように協調的にふるまうことが知られている。多細胞化は真核生物の進化過程の謎の一つである。 すなわち、超好熱性アーキアの高次構造体の研究が生物の多細胞化という進化を考える際の手がかりを与えてくれるかも知れない。そこで、本研究では超好熱性アーキアThermococcus kodakaraensis KOD1のバイオフィルム等の高次構造形成機構の解明を目指した。
KOD1の固着細胞と浮遊細胞の比較から、これまでに固着細胞では細胞壁成分であるS-layer タンパク質(Slp)の発現量が顕著に上昇していることがわかっている。また、pET systemを用いて大腸菌にKOD1由来Slpを大量発現させたところ、Slp発現株では細胞凝集が見られた。今回、一次抗体としてAnti-Slp Mouse IgGを作製しSlp発現株で免疫蛍光染色を行ったところ、外膜を除去した細胞、除去していない細胞どちらでも二次抗体による蛍光が見られた。以上のことからSlpは大腸菌細胞では内膜を貫通し外膜表面に存在しており、細胞凝集やバイオフィルム形成に直接関わっていることが示唆された。
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