P24-4 : 熱水環境中の一酸化炭素資化性好熱菌の分子生態学的研究
Posted On 20 10月 2014
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1京都大学大学院 農学研究科 応用生物科学専攻 海洋分子微生物学分野, 2産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 生物資源情報基盤研究グループ, 3, ,
【背景】 一酸化炭素 (CO) 資化性菌はCOを無毒化することから、火山ガスより持続的にCOが供給される温泉環境において、生態学的に重要な役割を担うと考えられている。そこで本研究では、静岡県伊豆半島の温泉において、1) CO資化性菌の代表種であるCarboxydothermus属細菌の定量、2) CO資化性菌を標的とした集積系の構築とクローン解析、3)集積系での CO資化酵素遺伝子 (cooS) 多様性解析を行うことで生態学的知見の獲得を目指した。 【方法】 静岡県賀茂郡より、2013年6月に温泉堆積物を採取した。堆積物から環境DNAをExtrap soil DNA Kitを用いて抽出し、定量的PCRに供した。また気相100% COの下、集積培養を行った。得られた集積系よりInstaGene Matrix (BIO-RAD) を用いてDNAを抽出し、クローン解析及びcooS多様性解析に供した。 【結果・考察】 各サンプリング地点の温度は67~88℃、pHは7.4~8.4、酸化還元電位は-333~64であった。定量的PCRの結果、全地点でCarboxydothermus属細菌は検出されなかった。異なる10種の集積培養系のクローン解析では、CO資化性能を有するCarboxydocella属やThermolithobacter属細菌由来のクローン配列が得られた。本集積系で得られた計6個のCO資化酵素遺伝子配列は、既知配列に類似しており、それぞれ異なるCO資化性菌由来であった。それゆえ温泉環境によって、異なるCO資化性菌が優占することが示唆された。
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