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P24-5 : 風化度の異なる火山岩中の微生物群集構造
Posted On 20 10月 2014
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1東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻, 2東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻, 3海洋研究開発機構地球内部ダイナミクス領域, ,
火成岩の風化は土壌の形成、水圏や周辺環境への元素供給、二酸化炭素の吸収に重要な役割を果たしている。火成岩の風化は、物理的作用(熱膨張と収縮、圧力変化、植物根)、化学的作用(鉱物の粘土化、pHや酸化還元変化作用を含む鉱物の溶解)に伴って生じる。微生物細胞は、代謝に伴い、pHやEhを微小領域で変化させることが可能であることから、微生物活動の火成岩風化への関与が示唆される。そこで、本研究では噴出年代と風化度の異なる桜島の火成岩試料を採取し、各試料の岩石化学成分比と微生物群集構造の比較を行った。火成岩中の微生物群集組成は風化土壌や岩石表面の組成と相同性が高かった。火成岩中の微生物密度は風化土壌や岩石表面に比べ1/100以下と小さいことから、岩石試料には周辺の光合成生態系に組み込まれる微生物群集の混入が示唆される。一方で、岩石内部からは、Soil crenarchaeota, Nitrospiraの硝化微生物、ShewanellaやPseudomonasの金属代謝に関わるとされる微生物が特徴的に見出され、特に昭和溶岩中には硝化やメタン酸化に関わる系統群が10倍以上多く観察された。
昭和溶岩と大正溶岩を比較すると、化学成分比から昭和溶岩のほうが風化が進行していた。微生物組成や岩石中に保持されうる還元ガス成分量から、硝化やメタン酸化の基質の主たる供給源は大気とみなすことができるので、金属代謝に関わる微生物活動に加え、これらのガス代謝微生物が昭和溶岩の風化を促進していると考えられる。
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