Previous Story
P24-1 : 九州南部の付加体深部地下圏におけるメタン生成メカニズム
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1静岡大学 理学部 地球科学科, 2静岡大学 大学院 理学研究科 地球科学専攻, 3, ,
静岡県中西部, 愛知, 紀伊半島, 四国, 九州, そして沖縄の太平洋側の地域は付加体と呼ばれる厚い堆積層からなる. 付加体の深部地下圏には大量の嫌気性地下水と付随ガスが存在している. 先行研究において, 静岡県中西部に分布する付加体の深部地下圏では水素発生型発酵細菌と水素資化性メタン生成菌の共生によってメタンが生成されていることが示された. 一方, 同様の付加体からなる九州南部の地域においては, 多くの温泉用掘削井にて付随ガスの湧出が見られるが, 主成分であるメタンの生成メカニズムは明らかになっていない. そこで, 本研究では宮崎県内の7つの温泉用掘削井から嫌気性地下水と付随ガスを採取し, 環境データの測定, ガス分析, 炭素安定同位体比分析, 地下水に含まれる微生物の嫌気培養, 16S rRNA 遺伝子の解析を試みた. ガス分析により, ほとんどのサイトにおいてメタンが主成分であることが示された (メタン, 90%以上). また, メタンと地下水中の溶存無機炭素の炭素安定同位体比分析の結果, メタンの起源は微生物起源と熱分解起源の混合であることが示された. 地下水に有機物を添加した嫌気培養では, 全てのサイトにおいて発酵細菌による水素ガス生成が確認された. また, 4サイトでは水素資化性メタン生成菌によるメタン生成も確認された. 本研究の結果から, 九州南部の付加体深部地下圏において, 水素発生型発酵細菌と水素資化性メタン生成菌の共生によるメタン生成が行われていることが示された. また, 同様のメタン生成メカニズムが付加体深部地下圏において広く行われている可能性が示された.
keywords:付加体,深部地下圏,嫌気性地下水,メタン,発酵