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P22-28 : 牛糞コンポスト由来アンモニア酸化古細菌集積培養系における微生物生態学的研究
Posted On 20 10月 2014
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1東北大・院・農, 2秋田県大・生物資源, 3, ,
従来、アンモニア酸化はアンモニア酸化細菌(AOB)が担っていると考えられてきた。しかし、近年、アンモニア酸化古細菌(AOA)が様々な環境に多量に存在することが明らかになりつつあり、AOAも環境中のアンモニア酸化に大きく寄与しているのではないかと推測されている。一方で、AOAの分離株は少なく、生理学的情報が不足しているのが現状である。本研究グループは、牛糞コンポストの高温期以降にCandidatus Nitrososphaea gargensis(N. gargensis)に近縁なAOAが優占することを明らかにした。そこで本研究では、牛糞コンポストからAOAを分離することを目的に、集積培養系を作成し、(古)細菌群集組成解析をおこなった。 2009年9月に川渡フィールドセンターで作成された温度下降期の牛糞コンポストからサンプルを採取し、改編AOA液体培地を用いて、42°Cで培養し2週間ごとに植え継ぎをおこなった。集積培養系からDNAを抽出し、細菌および古細菌を標的としたクローン解析に供した。 その結果、古細菌からはN. gargensisのみが、真正細菌からは5つの OTU(Operational taxonomic unit)が検出された。これらの結果から、集積培養系は、極めて単純な微生物群集によって構成されていることが明らかとなった。検出された真正細菌は、アンモニア酸化をおこなわない、従属栄養細菌であったことから、集積培養系では、N. gargensisがアンモニア酸化を行うとともに有機物を生成し、それを利用して真正細菌が増殖している可能性が考えられた。
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