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P22-27 : 水田土壌中で活性を有する水素生成微生物群集の解析
Posted On 20 10月 2014
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1名大・院・生命農, 2, 3, ,
水素生成微生物は湛水水田土壌中での有機物分解や還元過程の進行に密接に関わるが、その生態は不明である。本研究では水田土壌中で活性を有する水素生成微生物群集の多様性および動態を明らかにすることを目的として、水素生成酵素[FeFe]-ヒドロゲナーゼの遺伝子hydおよびその転写産物を対象とした群集構造解析を行った。
落水期に採取した水田土壌と、そこに稲わらを添加した土壌を嫌気的に湛水培養した。稲わら添加土壌についてDNAを対象としたhydのDGGE解析を行うとともに、稲わら無添加土壌では鉄還元が緩やかに進行する培養14日目、稲わら添加土壌では鉄還元と硫酸還元が活発に進行する培養1日目と、メタン生成過程に達した培養14日目の3つの異なる条件下にある土壌についてRNAを対象としたクローンライブラリー解析を行った。hyd遺伝子のDGGEパターンは培養中に大きく変化しなかったが、hydの転写産物の多様性には変化がみられた。FirmicutesとDeltaproteobacteriaに相同性が高いhydは全てのライブラリーで共通に存在し、特に培養1日目ではDeltaproteobacteriaに相同性の高いhydの割合が高かった。培養14日目では稲わらの有無に関わらずDeltaproteobacteriaに相同性が高いhydの割合は減少し、より多様な分類群の微生物に相同性の高いhydが転写された。さらに稲わら添加により転写されるhydの多様性が上昇する傾向があった。
以上から、嫌気的な水田土壌中では多様な水素生成微生物が活性を有し、土壌の状態により活性を変化させていると考えられた。
keywords:嫌気水田土壌,[FeFe]-ヒドロゲナーゼ,水素生成微生物,クローンライブラリー解析,RT-PCR