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O23-03 : スペクトル型セルアナライザーを用いた環境微生物の解析
Posted On 20 10月 2014
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1アクション植物科学研究所, 2SONY株式会社メディカル事業ユニット ライフサイエンス事業部, 3かずさDNA研・植物DNA解析, 4物材機構・ナノテクノロジー融合ステーション
環境中の微生物ならびに非生物系粒子の情報を染色液の使用を最少限に抑えて、高精度の計測、解析を迅速簡便に行えるようになることは、環境問題に関わる微生物生態学の立場からも重要な課題である。SONYスペクトル型セルアナライザーSP6800 (以下、SP6800と略称) はフローサイトメーターをさらに発展させた機器で、プリズムアレイ分光法によってスペクトル分光を高効率に行い、フィルターに依存しない細胞自身の蛍光シグナルを解析できる。SP6800は主としてライフサイエンスに関わる細胞情報を迅速に高精度で得ることを目的に開発されたが、本研究では、環境中の微生物ないしは非生物系粒子の計測、解析への応用可能性を初めて追及したものである。サンプルは環境水より8種(池水6、河口水1、海水1)、また、土壌より22種(ゴルフ場グリーン19、芝圃場3)を採取した。土壌サンプルの16種については、16S rRNAを用いた次世代シーケンサーによる細菌叢の解析も試みた。環境水のサンプルによっては、自家蛍光のみにより4つのグループ分けが可能となった。土壌サンプルでは、自家蛍光のみで微生物群と非生物系粒子群の少なくとも二つのグループに分けられ、芝草生育の良好な土壌と悪い土壌では、微生物群分画に差異の出る傾向が示された。本研究の結果からSP6800が環境微生物や非生物系粒子を迅速簡便に計測、解析できる可能性が示された。今後、さらなるデータの集積を行い、環境微生物群の特性を示すパターン化の可能性を追及していきたい。
keywords:スペクトル型セルアナライザー,スペクトル分光,環境微生物,非生物系粒子,自家蛍光