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P25-44 : 細菌溶菌性デロビブリオ属細菌の弱酸性条件における大腸菌捕食阻害-遺伝子工学的手法を用いたメカニズム解明-
Posted On 20 10月 2014
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1九州工業大・院生命体工・生体機能応用工, 2, 3, ,
[背景・目的] デロビブリオ属細菌は、薬剤耐性菌に対する新規抗菌剤として応用が期待されている菌株である。デロビブリオ属細菌は、他のグラム陰性の細菌に侵入・増殖・溶菌する能力を持つ菌株であり、この一連の捕食機構が新規抗菌剤として期待される所以である。しかし、この菌株の大腸菌等への捕食作用の分子的メカニズムは未解明な点が多い。本研究では、デロビブリオ属細菌とpH環境の関連性に着目し、弱酸性条件下にてデロビブリオ属細菌による大腸菌捕食が阻害されることを発見し、遺伝子工学的な手法を用いて、弱酸性条件におけるデロビブリオ属細菌の大腸菌捕食阻害の機構の解明を試みた。
[方法及び結果] pH 6.6における大腸菌内のデロビブリオ属細菌のRNA量をリアルタイムPCRにて経時的に測定した結果、デロビブリオ属細菌は大腸菌内に侵入可能ではあるが、増殖せず、機能停止していることが分かった。次にpH 6.6においてデロビブリオ属細菌が大腸菌内で栄養物を分解し伸長可能か否かを、GFPを導入した大腸菌にデロビブリオ属細菌を接種し、その明度により判断した。その結果、pH 6.6では大腸菌単独の際の明度と差が見られなかったことから、デロビブリオ属細菌は大腸菌内で、伸長不可能な状態にあることが判明した。さらに、pH 6.6とpH 7.6の条件でデロビブリオ属細菌を接種した大腸菌から全RNAを抽出して識別式遺伝子発現解析を行ったところ、pH 7.6の条件と比較して、pH 6.6では、110個の遺伝子は発現が向上した。一方、遺伝子発現が抑制された遺伝子数は77個であった。
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