Previous Story
P25-36 : グラム陰性細菌中のQuorum Sensingを阻害する修飾シクロデキストリンの合成と機能評価
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1宇都宮大・院工・物質環境化学, 2, 3, ,
多くの病原性グラム陰性細菌はアシル化ホモセリンラクトン(AHL)を介した細胞間情報伝達機構Quorum Sensing(QS)により、色素生産、菌体発光、バイオフィルム形成、病原性の発現など様々な機能を制御している。AHLによるシグナル伝達を阻害すると、病原性細菌の病原性のみを抑制することが可能であり、抗生物質等に代わる新しい感染症予防技術として応用が期待されている。我々の研究グループは、環状オリゴ糖であるシクロデキストリン(CD)がAHLのアシル鎖部分を取り込み、包接複合体を形成することを見出し、培養液中にCDを添加することでモデル病原菌のQSを阻害することが可能であることを明らかにしてきた。一方で、CDはAHLに対する特異性が低いため、十分なQS阻害効果を得るには高濃度のCDを投与しなければならない。この問題点を解決するため、本研究ではAHLを特異的にトラップまたはAHL分解が期待できる置換基をCDに導入することでCDのAHLに対する包接能を強化し、QS阻害能の向上を試みた。これまでに、置換基としてアミノ基とアミノ酸を選択し、修飾CDの合成を行った。合成した修飾CDのQS阻害効果を評価するためにPseudomonas aeruginosa PAO1株およびSerratia marcescens AS-1株を用いて検討し、その結果、それぞれの株において阻害効果が示唆された。
keywords:シクロデキストリン,AHL,クオラムセンシング,グラム陰性細菌,包接