P23-13 : 牛ルーメン液を用いた古紙分解に関わる微生物群の解明
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1東京大学大学院農学生命科学研究科, 2秋田県立大学生物資源学部, 3東北大学大学院農学研究科, ,
(背景) 我々は東北復興次世代エネルギー研究開発プロジェクトの一環として、これまで未利用であった草本木質系バイオマスからの効率的なエネルギー生産を目指している。過去の研究から牛ルーメン液を用いて古紙の前処理を行うことにより、古紙が分解されその後のメタン発酵効率が上昇することが示された。この前処理系内では、有機酸の蓄積によりpHが著しく低下するなど、牛のルーメン内とは異なった環境を形成している。したがって牛ルーメン内とは異なる微生物によって古紙の分解が行われている可能性がある。本研究では植物体バイオマスのルーメン前処理系において機能遺伝子解析を行うことで、植物体バイオマス分解に関わる微生物群の解明を目的とした。 (実験方法) 牛ルーメン液に1%w/vの古紙を加え37℃で嫌気培養を行った。経時的にサンプルを採取し、分解率などの理化学性分析に用いた。また培養前後のサンプルからDNAを抽出し、Truseq-PCR Free Kitを用いたショットガンシークエンス解析に供した。得られたデータから植物体分解に関わる酵素であるβ—1,4グルコシダーゼおよびβ-キシラナーゼをコードする遺伝子を探索し、その遺伝子を持つ微生物群集構造を調べた。 (結果) 培養期間中、古紙は70%以上が分解された。一方、培養中に揮発性脂肪酸の蓄積により系内のpHが5.5以下に低下することで、分解能が著しく落ちることも明らかになった。この時にセルロース分解に関わる酵素遺伝子の解析を行った結果、Clostridium属の細菌が多く検出され、古紙分解に大きく関与している可能性が示唆された。
keywords:メタゲノム解析,次世代シークエンサー,機能遺伝子解析,繊維分解菌,ベータグルコシダーゼ