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O35-04 : 浅海性無脊椎動物の体腔液に共存する微生物の群集構造解析
Posted On 20 10月 2014
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1北大院・水産・院海洋応用生命科学, 2京大院・農・応生, 3, ,
近年、深海底熱水活動域の無脊椎動物に共生するEpsilonproteobacteriaが、ヒト病原性を示すHelicobacter pyloriの祖先的遺伝形質を有することが示唆された。しかし、深海から陸上への進化の過程は解明されておらず、大きなギャップが存在する。本研究室の先行研究から、道内に生息するヒトデやナマコ等の浅海性無脊椎動物の体腔液にEpsilonproteobacteriaが普遍的に存在することが示唆された。そこで本研究では、その進化史および無脊椎動物との共生様式解明に向け、未調査の道東域において、浅海性無脊椎動物の体腔液に存在する微生物叢を解析し、Epsilonproteobacteriaの普遍性およびその類縁関係を解明することを目的とした。道東域の5地点でマヒトデおよびイトマキヒトデを採取し体腔液を得た。その後、DNAを抽出し16S rRNA遺伝子を増幅した後、クローンライブラリーを作成した。また一部の試料では、次世代シーケンサーによる微生物群集構造解析を行った。マヒトデおよびイトマキヒトデの体腔液から多様な微生物が検出された。体腔液に存在する微生物の群集構造はサンプリング地点および宿主の種の違いによって異なり、深海に優占するEpsilonproteobacteriaに近縁なクローンも検出された。また、特異なEpsilonproteobacteriaが優占して検出されるものもあり、次世代シーケンサーによる解析でも同様の結果が得られた。本発表では、浅海性無脊椎動物の体腔液に存在するEpsilonproteobacteriaの進化特性や生理機能について議論したい。
keywords:共生,Epsilonproteobacteria,無脊椎動物,進化,群集構造解析