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P23-5 : 蓄電性バイオナノマテリアル生成因子の微生物生態学的解析
Posted On 20 10月 2014
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1静岡大学大学院 工学研究科, 2静岡大学 工学部, 3静岡大学大学院 自然科学系教育学部, ,
硫酸還元細菌を含む微生物複合培養物によって生成された新規物質(BNM)は蓄放電能力を有しており、二次電池としての利用が期待される。しかしBNMの生成機構ならびに高効率な蓄放電能力の要因は明らかでなく、更なる蓄放電能力向上のためにその機構解明が必須であるため、BNM生成機構の理解を目的とした。 硫酸還元細菌を含む微生物群をKH2PO4、MgSO4、CaCl2、NH4Cl、NaHCO3、Lactate、Ti(III)citrate及びFe(III)citrateを含む培地で培養すると、白色の化合物が生成し、黒色へと変化した。この時、上清中の鉄および硫酸イオン濃度は減少し、減少した鉄はFe(II)として物質中に取り込まれた。生成に関与する培地成分を調べるため、成分を一種類ずつ欠損させた培地を作成し培養を行ったところ、NaHCO3欠損培地のみ物質の生成が確認されなかった。pHを測定したところ、物質を生成した培養物は8.0付近であるのに対しNaHCO3欠損培地では4.7と低い値を示した。そこでpH変化による生成を解析すると、pH5.6以下で生成されず、硫酸イオン濃度減少も確認されなかった。一方、硫酸イオン非消費条件下であるMgSO4欠損培地において白色物質の生成が確認された。この白色物質の最大電力密度は、上記の全ての成分を含む培地で生成されるBNMのおよそ5%程度であった。またDGGE解析の結果、微生物群集構造に大きな差異は見られなかったが、すべての系に硫酸還元細菌が確認された。以上の結果から、BNM生成において硫酸還元が、蓄放電能力において鉄の酸化還元状態が重要であることが示唆された。
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