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P22-29 : カメムシに農薬抵抗性を与えるBurkholderia 属分解菌の土壌における生態
Posted On 20 10月 2014
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1農環研, 2産総研, 3沖縄農研セ, ,
現代農業では、同一の殺虫剤の連続使用により薬剤抵抗性害虫の存在が顕在化し問題となっている。一般に、殺虫剤抵抗性は害虫の遺伝子変異で起こるとされる。しかし有機リン系殺虫剤フェニトロチオンの場合、この殺虫剤の散布でBurkholderia属の分解菌が土壌で増加し、その一部がダイズ害虫ホソヘリカメムシの消化管に共生して、宿主に抵抗性を付与することが示された。 Burkholderia属の一部は、サトウキビ害虫カンシャコバネナガカメムシの消化管にも共生する。これまでに、フェニトロチオンを連用した沖縄県南大東島のサトウキビ畑から分解菌を共生させたカンシャコバネナガカメムシが見つかった。本研究では、これらの土壌に存在していると考えられる、分解菌とBurkholderia属の菌数と多様性を明らかにすることを目的とした。 畑から土壌を回収した。希釈平板法で分解菌を計数分離し、16S rRNA遺伝子に基づき多様性を解析した。またBurkholderia属特異的プライマーを設計し、土壌DNAを抽出して定量PCRと次世代シーケンス解析を行った。得られたデータを統計処理した。 複数の畑から≤104の分解菌が見つかり、その菌数はフェニトロチオン散布の影響を受けていた。カメムシと共生できるBurkholderia属の種は系統発生的に限られているが、分解菌の約93%が共生タイプであった。一方、Burkholdeira属はいずれの畑にも約107存在し、その約半分が共生タイプであった。 以上から、島内の畑では共生できるタイプの分解菌が散布されたフェニトロチオンに素早く反応して土壌で増加したと示唆された。
keywords:Burkholderia,organophosphorus insecticide degradation,population dynamics,symbiotic gut bacteria,pest stinkbugs