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P22-26 : 糸状菌Trichodermaによる熱帯熱帯土壌からの亜酸化窒素放出
Posted On 20 10月 2014
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1千葉大・園芸, 2, 3, ,
[目的]農地での窒素循環における硝化、脱窒作用は主に細菌が担うが、その際に中間産物として亜酸化窒素(N2O)を放出する。しかしながら、近年糸状菌によるN2Oの発生が報告された。この発生は脱窒によるものとされるが、窒素循環における糸状菌の役割や、N2Oとの関わりは不明瞭である。本研究では、温室効果ガスの発生源として注目される熱帯土壌を用いて糸状菌が温室効果ガス発生に与える影響を検討することを目的とした。[方法]マレーシアのシブから採取した砂壌土、泥炭土を供試土壌とした。それぞれの土壌で土壌のみ、土壌+グルコース+KNO3、土壌+グルコース+KNO3+砂壌土より単離した糸状菌(糸状菌添加区)、の3区を設け培養試験を行った。培養期間中はアセチレン阻害法を用いてN2O生成量の定量と無機態窒素の定量、分析を行った。単離した糸状菌については、DNA抽出後、PCR法によりrDNA-ITS領域を増幅し、塩基配列を決定して種の同定を試みた。[結果]培養期間中のN2O総生成量は、両土壌共に土壌+グルコース+KNO3+単離した糸状菌>土壌+グルコース+KNO3>土壌のみの順に大きくなった。また、砂壌土では糸状菌添加区でのガス発生量が他の2区より有意に大きい結果となり、糸状菌がN2O生成に関与することが示唆された。無機態窒素では、有機物分解によるアンモニア態窒素の増加が見られた。硝酸態窒素は、培養が進むにつれ両土壌とも糸状菌添加区にて減少した。このことから、糸状菌が脱窒由来のN2O放出を増大させたと考えられる。また、単離した糸状菌はDNA解析の結果、Trichoderma属と推定された。
keywords:熱帯土壌,糸状菌,温室効果ガス,亜酸化窒素,