P21-22 : マナマコの腸内容物から単離した新規セルロース分解菌株 Scu-11のキャラクタリゼーション
Posted On 20 10月 2014
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1富山大学大学院 理工学教育部 生物圏環境科学専攻 生物圏機能Ⅲ講座, 2, 3, ,
【目的】セルロース分解菌やその産生酵素は,バイオ燃料,食品,医薬品など様々な分野で利用されている。そこで,本研究では,海洋生物のマナマコ(Stichopus japonicus)の腸内容物から新たなセルロース分解菌を単離し,まずはそのキャラクタリゼーションを試みた。【方法】菌の培養には,人工海水を基本としたASW培地とMarine Broth培地を用いた。富山湾沿岸域で採取したマナマコの腸内容物を,濾紙粉砕物(セルロース)を含むASW液体培地に入れて集積培養した。その後,培養液の一部をセルロースを含むASW寒天培地に塗布し,形成されたコロニーの周辺にセルロースの分解によって生じた透明なハローを持つものをセルロース分解菌として単離した。【結果・考察】今回,セルロース分解菌として単離した20株の中で,短期間で最も大きなハローを形成する菌株をScu-11と命名し,実験に用いた。Scu-11は,桿菌で運動性を持つグラム陽性菌で,16S rDNAの塩基配列は,最近縁種とされたPaenibacillus chitinolyticusのものと92.9%と低い相同性が示され,新種である可能性が強く示唆された。Scu-11のハロー形成と液体培地中での増殖は,共に45℃が至適温度であった。その45℃における液体培地中でのセルロースの分解率は,培養開始後14日目で約65%となった。そして,ザイモグラムから,少なくとも菌体に4種,培養液上澄に6種のセルラーゼを産生することが示唆された。以上の結果より,Scu-11は,高温環境下におけるセルロース系バイオマスの利用に有用な分解菌であると思われた。
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