P21-21 : 南ベトナムのトビハゼ養殖池における高い微生物現存量と酸素消費がもたらす夜間の無酸素化
Posted On 20 10月 2014
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1長崎大学大学院水産・環境科学総合研究科, 2東京大学アジア生物資源環境研究センター, 3山形大学理学部, Can Tho University, Faculty of Fisheries,
【目的】ハゼ科魚類の一種,Pseudoapocryptes elongatusの養殖はベトナムのメコンデルタで近年急速に広がりつつある。P. elongatusは空気呼吸できるため,高密度養殖も無給気で行われ,その養殖環境は他の養殖場と比べて著しく異なると予想される。本研究はP. elongatus養殖池の微生物生態学的特色を明らかにし,養殖環境の解明と影響評価に資することを目指した。【方法】2012年6月から2013年6月にBac Lieu市のP. elongates養殖池(以下,ハゼ養殖池)で溶存酸素(DO)を24時間観測するとともに,採水試料の潜在的なDO消費活性(OC),浮遊性藻類の同定と計数,全細菌計数を求め,堆積物試料の全酸素消費(WOC)と化学的酸素消費活性(COC)をin vivo ETSA手法で推定した。比較のため,近隣のエビ養殖池でも同様の観測と分析を行った。【結果】ハゼ養殖池の浮遊性藻類数と全細菌数は,それぞれ0.1~1.8×107 cells/mlおよび0.2~3.7×108 cells/mlの範囲にあり,エビ養殖池の各計数値よりも1桁以上高い値を示した。いずれの養殖池でも緑藻のChlorella sp.が優占していた。OCはハゼ養殖池の試水で顕著に高く,昼間に過飽和だったDOが,日没から4時間以内に無酸素となり翌朝まで続いた。堆積物のWOCとCOCもハゼ養殖池で高い値を示した。以上の結果から,ハゼ養殖池では水中の浮遊性微生物と堆積物微生物による酸素消費,および堆積物から溶出する還元物質による酸素消費によって夜間の無酸素化が起きると考えられた。
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