P21-17 : 地下温度変化による地下水中の微生物群集への影響
Posted On 20 10月 2014
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1埼玉大学大学院 理工学研究科, 2JST CREST, 3埼玉大学 理学部, ,
二酸化炭素放出の削減および省エネルギーの必要性から、今後、地圏熱利用ヒートポンプシステム(GSHP)の普及促進が予想される。GSHPは冷暖房用恒温熱源として、年間を通して温度がほぼ一定な地下水を利用するものである。このような技術の普及に加え、都市部の地下利用やヒートアイランド現象の影響などによって地下の温度環境が変化する可能性がある。しかしながら地下温度変化が地下の地盤や地下水質、生息する微生物に与える影響については、これまでほとんど研究例がない。そこで本研究では、熱負荷実験により地下温度を変化させ、地下水中の微生物群集の変化を明らかにすることを目的とした。埼玉大学構内において深さ50 mのボーリング孔にUチューブ管熱交換器を設置し、2012年8月–2013年9月の期間、温水を循環させた(40ºC、40 L/分)。2013年9月–2014年7月現在までは温水の循環を止め、自然放冷を行っている。熱交換器から1–10 m離れた4つの観測井において異なる2つの帯水層(~17、~39 m)から経時的に地下水を採水し、地下水質の測定とPCR-DGGEによるバクテリアおよびアーキアの群集構造解析を行った。また、リアルタイムPCRによって地下水中の微生物数の変化についても調べた。熱交換器から1 m離れた井戸では熱負荷によって地下水温が15–17ºCから24–25ºCまで上昇し、自然放冷過程で現在16–18ºCまで低下している。本発表では、地下温度の上昇および下降過程における地下水微生物群集構造の変化を示し、温度変化が微生物群集や地下水質に与える影響について考察する。
keywords:Groudwater,Microbial community,Ground source heat pump,PCR-DGGE,real-time PCR