P21-11 : 日本沿岸の海底泥より分離されたε-プロテオバクテリアの硫黄酸化細菌
Posted On 20 10月 2014
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1芝浦工業大学大学院, 2東京海洋大学, 3産業技術総合研究所, 芝浦工業大学,
ε-プロテオバクテリアの独立栄養の硫黄酸化細菌は、Sox系の代謝経路により硫黄化合物の酸化を行うことが報告されており、硫黄循環に深く関わっているとともに、一部の種においては電子受容体として硝酸イオンを利用することから窒素の循環にも関与している。近年、海底熱水噴出域からの分離株等を基に新種の報告がなされているが、沿岸海底泥よりの分離株に基づく種は、Sulfurimonas denitrificansのみである。本研究では、日本沿岸海底泥より新たに分離されたε-プロテオバクテリアに属する硫黄酸化細菌の性状や代謝についての検討を行った。 東京湾と新潟沿岸からそれぞれ底泥を採取し、気相の一部を硫化水素に置換し集積培養を行い、限界希釈法により、東京湾試料からHS-TB株、新潟沿岸試料からHS-JS株を分離した。16S rRNA遺伝子による系統解析の結果、HS-TB・HS-JS両株ともS. denitrificansと最も相同性が高く、それぞれ96%、93%であり、新種もしくは新属の硫黄酸化細菌であることが示唆された。HS-JS株はチオ硫酸を電子供与体として増殖できたが、HS-TB株はできなかった。一方、soxB検出用プライマーを用いたPCRでは、HS-TB株において増幅が見られず、HS-JS株においては増幅が確認できた。HS-JS株の至適pHは6.5、至適温度は15℃、至適塩分濃度は1.5%であり、塩分がなくても生育は確認できた。HS-JS株は硝酸塩を電子受容体として生育できず、大気レベルの酸素濃度で増殖できる点など、S.denitrificansと異なっていた。
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