P21-10 : 海洋性メタン菌による硫化メチルからのメタン生成

四方 麻妃¹,寺原 猛³,今田 千秋³,羽部 浩⁴,布施 博之²
1芝浦工業大学大学院, 2芝浦工業大学, 3東京海洋大学, 産業技術総合研究所,
【目的】硫化メチル（DMS）は悪臭物質であり、硫黄循環や気候変動への影響などで環境中において重要な物質である。DMSを生育基質とするメタン生成菌はとしては、Methanolobus 属やMethanosarcina 属等の菌が分離されているが、その分解に関する遺伝子については推定が行われているものの、確定されておらず、海洋中におけるDMS分解への寄与についても明らかになっていない。本研究は、メタン生成菌におけるDMSの代謝を明らかにするとともに、その海洋中での働きを明らかにすることを目的とした。
【方法】東京海洋大学のひよどりに乗船し、東京湾において表層水と底層水、海泥を3地点で採取した。DMSを10 mMとなるように添加して培養を行い、16S rRNA遺伝子によるその菌相解析を行うとともに希釈培養やロールチューブ法により分離操作を行った。分離株については16S rRNA遺伝子による系統解析を行い、生育試験を行った。また、培養サンプルを取得した同じ地点の表層水と底層水でDMSとメタン濃度の測定、菌相解析を行った。DMSとメタンの測定にはガスクロマトグラフィーを用いた。
【結果】DMSを添加して培養した海水・海泥からは、Methanolobus 属とMethanosarcina 属に属する菌が多く検出された。分離株はMethanolobus profundi MobM^Tとの相同性が96 %であり、新種の可能性が示唆された。生育試験の結果、最適温度は25℃、最適pHは8.0、最適NaCl濃度は230 mMであった。

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