P21-9 : 富栄養淡水湖底泥における活性のあるメタン生成古細菌群集の多様性
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1国立環境研究所地域環境研究センター, 2, 3, ,
【背景】
日本の多くの湖沼は人間活動に伴う栄養塩の流入により富栄養化が進行している。富栄養化は湖内の一次生産を増加させ、底泥における有機物負荷の上昇及び貧酸素化の原因となる。こうした条件では、嫌気的な微生物プロセスが卓越する。メタンは地球上で重要な温室効果ガスの一つであり、温室効果全体の約20%に寄与していると推定されている。湖沼底泥はメタン生成のホットスポットである。特に、メタンは嫌気性微生物である古細菌の特定のグループによって生産される為、上記のように富栄養化した湖沼では底泥からのメタン生成がより活発であると考えられる。
富栄養湖底泥におけるメタン生成機構の理解は地球のメタン循環に重要な知見を与え得る。メタン生成古細菌はその基質利用の観点から4つのグループに分けられる。従って、これらの分類は、富栄養湖底泥におけるより詳細なメタン生成機構の理解に繋がる。メタン生成古細菌の群集解析は、多くが16S rRNA遺伝子及びメタン生成に関与するmcrA(メチル補酵素還元酵素Mαサブユニット)遺伝子により行われている。しかし、遺伝子の検出はその活性を表さず、実際にこれらが底泥のメタン生成に関与しているかの証拠は不十分である。
【発表内容】
本研究では富栄養淡水湖底泥において、16S rRNAを用いた「活性のあるメタン生成古細菌」の群集構造を検討した。半定量分析の結果、メタン生成古細菌の16S rRNAは深度方向に単純増加しなかったことから、本菌の活性が環境要因に依存することが示唆された。本発表では更に、深度方向での16S rRNAによるメタン生成古細菌群集を調べた結果を報告する。
keywords:富栄養淡水湖,底泥,メタン生成,古細菌,多様性