P21-1 : 生物ろ過槽由来のMn除去能を持つ微生物群集の集積培養
Posted On 20 10月 2014
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1横浜国立大学大学院 工学府
【目的】Fe・Mnを含む地下水を微生物複合系を用いて浄化する「生物ろ過法」は低コスト・低環境負荷のFe・Mn除去技術であるが、その浄化機構はまだ解明されておらず、Fe・Mn酸化細菌の単離は報告されていない。生物ろ過槽の細菌群集構造を解析した結果、Mn酸化能が報告されているHyphomicrobium属をはじめC1化合物資化性細菌が多く存在した。本研究では生物ろ過槽よりMn2+の酸化、除去を行う微生物群集を集積培養し、その性質や組成を調べることを目的とした。
【材料・方法】京都府城陽市生物ろ過槽よりろ材を採取し、炭素源としてギ酸を用いたHyphomicrobium集積用培地に終濃度30 mg/LのMn2+を添加して25℃で振とう培養を行った。Mn2+濃度、Mn酸化物濃度を経時的に測定し、Mn2+濃度の減少が見られなくなった時点で植え継ぎを行った。各世代の培養液よりDNAを抽出し、DGGE法で解析した。
【結果・考察】継代培養の結果、培養3日程度でMn2+がほぼ除去される細菌群集が得られた。Mn2+が除去される一方Mn酸化物の量は非常に少なく、Mn2+の大半は細胞に吸着されていると推察された。各世代の細菌群集の構造をPCR-DGGEで調べた結果、6代目で細菌群集の組成がほぼ一定になったことが確認された。この集積培養系のMn酸化、Mn2+除去への溶存酸素濃度の影響を調べた結果、振とう速度200 rpmでは100 rpmよりも細胞濃度およびMn酸化物量は3倍程度高かったが、Mn2+除去能には大きな差が見られず、Mn酸化とMn2+除去が異なる細菌、もしくは異なる機構によることが示唆された。
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