O35-08 : Methylobacterium属細菌が合成するPQQによる活性酸素発生抑制と気孔開閉に関する研究
Posted On 20 10月 2014
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1岡大・植物研, 2, 3, ,
植物葉面には多様な菌が存在する。病原性細菌は植物の免疫応答を引き起こし排除されるが、葉上で生育可能な共生細菌も存在する。なぜ、共生細菌が植物の防御反応を回避または抑制し葉上で存在できるのだろうか?本研究では、葉上で優占化するMethylobacterium属細菌の共生機構の解明を目的とした。植物葉面では気孔からメタノールが放出される。本属細菌はピロロキノリンキノン(PQQ)を補酵素とするメタノール脱水素酵素を持つ。PQQは活性酸素除去能があり、本属細菌は、培地中にPQQを分泌することが示されている。植物は、病原性細菌の鞭毛タンパク質のペプチドflg22を認識すると、活性酸素を発生させる。これが刺激となり気孔が閉じ、病原性細菌の侵入を阻んでいる。そこで、本属細菌が生成するPQQがflg22依存的な活性酸素を消去できるか、シロイヌナズナのリーフディスクで検討した。flg22により活性酸素が発生することを確認し、PQQを同時に添加すると、活性酸素の発生が抑えられた。さらに、気孔開度を測定した結果、flg22処理区では気孔が閉じ、flg22とPQQ両処理区では気孔開度が無処理区と同レベルであった。PQQ単独処理においても気孔が有意に開口した。また、本属細菌のPQQ合成遺伝子が葉上で発現していることをpqq-GFP レポーター株を用いて示した。以上の結果より、活性酸素をシグナルとした気孔閉鎖効果を、PQQがキャンセルできると考えられる。本研究では、本属細菌による気孔開口の生態学的意義についても考察する。
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