O32-02 : 16S rRNAを指標としたバクテリオーム解析による生物脱臭に適した完熟堆肥の評価
Posted On 20 10月 2014
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1東京農工大・院・農, 2東京農工大・農学系ゲノム科学人材育成プログラム, 3宇都宮大・農, 北大・院・農,
生物脱臭技術は堆肥化時悪臭の除去などで使用されており、特に悪臭として濃度が高いアンモニアの脱臭媒体として堆肥に焦点を当てた。堆肥化中は悪臭を分解する微生物も存在している可能性もあり、熟成した堆肥もまたそれを受け継いでいると考えられる。本研究では材料の異なる堆肥,残飯堆肥2種類および牛糞堆肥2種類に存在する細菌叢を、16S rRNAをターゲットに次世代シーケンサーを使用し、網羅的にメタゲノム解析を行った。細菌叢を指標としてアンモニア脱臭に適した堆肥の評価を行った。結果として、同一材料による堆肥にはそれぞれ特徴ある細菌叢が存在していた。牛糞堆肥はα多様性が高く、牛糞堆肥間のβ多様性が低いという結果が得られた。牛糞堆肥のα多様性が高いことから残飯堆肥よりも多くの細菌種を保持していることが記された。さらに牛糞堆肥には硝化細菌が属するProteobacteria門に属する細菌の存在が確認され、アンモニア酸化酵素(amoA)遺伝子がPCR増幅によって確認できた。このことから、牛糞堆肥がアンモニア曝気後にアンモニア酸化細菌が優勢種となる潜在能力を秘めていることが明らかになった。またβ多様性が低いことから牛糞を使用した堆肥は微生物叢に関する品質の安定性があると考えられた。本研究によって、材料に牛糞を使用した堆肥には硝化細菌が存在し、アンモニア酸化活性能力を保有し、アンモニアを含む悪臭を除去する高い効果を持つ生物脱臭媒体として使用できると推定された。
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